派遣切り関連のページ

株式会社ニコン相模原製作所での労働者派遣法および労働契約法の逸脱運用による雇い止め事件
東京地裁で争っていた、株式会社ニコン 相模原製作所の契約社員雇い止め事件が2016年6月28日に和解解決をしました。

「ニコン契約社員雇止め事件」和解成立を受けて(声明)
2016年6月29日
首都圏青年ユニオン
同 顧問弁護団

 

PDF版

 

 株式会社ニコン 相模原製作所で約6年にわたって勤務していた原告 濱谷 和久は、2014年3月31日で同社を雇い止めにされた。私たち首都圏青年ユニオンはこの雇い止めに合理的理由がないとして、ニコンに団体交渉を申し入れ、2014年7月10日に東京地裁に提訴し、2016年6月28日 東京地裁民事第36部において和解が成立した。

 

 和解条項上、和解内容について口外禁止とされているため、詳細を述べることは出来ないが、本和解は、原告本人が十分に納得できるものであると評価できる。
原告は、派遣会社ニコンスタッフサービスからニコン相模原製作所に派遣され、同製作所で2〜3ヶ月の期間の定めのある労働契約を20回以上更新し、5年6か月もの期間働いていた。
労働者派遣法の抵触日を迎え、原告はニコンに直接雇用され、契約社員となったが、初回契約書には「6ヶ月契約」「労働契約の更新上限は5年」と労働契約法18条の無期雇用転換権の行使を阻害する契約書を作成していた。
 原告が派遣労働者時代に行っていた業務と、直接雇用の契約社員に切り替わってから行った業務は同一であり、一貫して相模原製作所で光学部品の加工作業に従事してきた。また時給についても1300円で派遣労働者時代と同額であった。
 原告はニコンの主力製品である半導体露光装置のレンズ洗浄業務に従事していたこともあったが、本製品に関わる原告の仕事ぶりは相模原製作所所長からも「よく働いてもらっていた」と評価され、さらなる業務効率化のためのプレゼンテーションを正社員の前で行うこともあった。
 しかしながら、雇い止め撤回を求めた訴訟でニコンは、原告の仕事について、「1週間もあれば独り立ちできるレベルである」、「熟練が必要なものではない」などと主張した。これに対し、原告弁護団は、そうした主張は労働者のみならず、自らの製品の質さえもおとしめるものであると反論した。
 労働者派遣法は、常用代替禁止を原則としているが、(旧法において)「3年限度」の制限を迎えても「有期契約の直雇用」への切り替えと「更新せず、期間満了での雇止め」を合わせることで、労働者派遣法を潜脱し、長期に働いてきた労働者を切り捨てる手法が多くの企業で横行していた。
 この間の労働者派遣法と有期雇用契約を巡る労働争議において、「直雇用・正社員化」を願う労働者に厳しい判断が続く中で、今回の和解成立は画期的である。
 2015年の労働者派遣法改正で、派遣労働者保護の規定はさらに形骸化し、多くの職場では派遣労働者と非正規労働者は、労働諸法令で規定された地位や権利を守られず、泣き寝入りを強いられている。
 今回、ニコンで働いてきた原告が首都圏青年ユニオンに加入して争議をたたかい、和解の道をひらいたことは、全国の非正規雇用で働く人々を大きく励ますことになったと確信する。
 本和解は、非正規労働者が労働組合に加入して、あきらめずにたたかうことがいかに重要かということを社会に示したものになった。
 「あきらめない」「泣き寝入りしない」、非正規労働者のための労働運動として首都圏青年ユニオンが原告ともにたたかったことは誇りである。
 首都圏青年ユニオン及び同顧問弁護団は、これからも非正規労働者の権利実現、労働条件改善のためのあらゆる運動と連帯し、すべての働く者たちのために全力でたたかうことをここに改めて決意する。


以 上

毎日新聞2016年6月30日 
雇い止め訴訟
異例の和解…東京地裁
http://mainichi.jp/articles/20160630/k00/00m/040/120000c#

 派遣社員から契約社員となったあと一度も契約更新がなく雇い止めとなったのは長期雇用の期待権の侵害だとして元契約社員の男性がニコン(東京都港区・牛田一雄社長)を相手取り損害賠償を求めた裁判で、男性と同社が29日までに東京地裁で和解した。男性の弁護士によると非正規労働者が雇い止めの無効を訴え、和解したのは珍しいという。

 訴えていたのは浜谷和久さん(34)。和解はニコンが解決金を支払うなどの内容で金額は公にしない条件。訴状などによると、浜谷さんは2008年2月にニコンの孫会社からニコンの相模原工場に研究開発の仕事で派遣され、更新を重ねて働き、13年9月にニコンの直接雇用に切り替わった。期間は5年が上限で、14年3月末に雇い止めされた。会社側は「期待権は発生しない」と主張していた。

 

2014年7月10日、株式会社ニコン相模原製作所での労働者派遣法および労働契約法の逸脱運用について、東京地方裁判所に提訴しました。

今後、裁判期日が決まり次第お知らせ致しますのでご支援よろしくお願いします。

 

請求内容は以下のとおりです。
1,原告が被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する
2,被告は、原告に対し、1に伴い賃金を支払うよう求める。


事実経過
 本件は、株式会社ニコン相模原製作所に派遣されていた派遣労働者が、労働者派遣法の「抵触日」を迎えるため、派遣労働者から直接雇用の契約社員に切り替わったところ、一度も契約を更新されること無く、雇い止めをされた事件である。
 株式会社ニコン相模原製作所では基幹的業務といえるレンズの研磨・洗浄作業を派遣労働者が行っていた。また、派遣労働者は間接雇用のため、派遣先の都合で仕事を失うなど不安定な働き方を余儀なくされる。そのため期間の定めがあっても雇用が安定した直接雇用を望んでいる。しかしながら株式会社ニコン相模原製作所では、「減産」を理由に一度も更新すること無く雇い止めを行った。また直接雇用に切り替わる際も、「労働契約の更新上限は5年」と労働契約法の無期雇用転換を阻害する契約書を作成していた。
 首都圏青年ユニオンは労働者派遣法ならびに労働契約法を逸脱運用をする株式会社ニコンに対して法令遵守、原告の職場復帰を求めるとともに、非正規労働者を使い捨てにする企業と社会を変えていくためにも、原告を全面的に支援し、本裁判が勝利を迎えるまで闘い続けていく。

2016年6月28日
東京地裁において、原告とニコンとの間で和解が成立しました。
後日、声明を発表いたします。

 

第15回目期日

日時:6月28日(火)午後1時30分〜和解協議
法廷:東京地裁13階民事36部 (最寄り駅:地下鉄霞ヶ関駅)
※終了後、場所を変えて報告集会を行います。

 

第14回目期日

日時:6月21日(火)午前10時30分〜和解協議
法廷:東京地裁13階民事36部 (最寄り駅:地下鉄霞ヶ関駅)
※終了後、場所を変えて報告集会を行います。

 

第13回目期日

日時:5月24日(火)午後1時〜和解協議
法廷:東京地裁13階民事36部 (最寄り駅:地下鉄霞ヶ関駅)
※終了後、場所を変えて報告集会を行います。

 

第12回目期日

日時:5月11日(水)午後2時〜弁論準備
法廷:東京地裁13階民事36部 (最寄り駅:地下鉄霞ヶ関駅)
※終了後、場所を変えて報告集会を行います。

 

第11回目期日

日時:4月11日(月)午後1時30分〜証人尋問
法廷:東京地裁東京地裁631号法廷

 (最寄り駅:地下鉄霞ヶ関駅)
※終了後、場所を変えて報告集会を行います。

 

第10回目期日

日時:12月25日(金)午前11時〜弁論準備
法廷:東京地裁13階民事36部 (最寄り駅:地下鉄霞ヶ関駅)
※終了後、場所を変えて報告集会を行います。

 

第9回目期日

日時:11月10日(火)午後2時〜弁論準備
法廷:東京地裁13階民事36部 (最寄り駅:地下鉄霞ヶ関駅)
※終了後、場所を変えて報告集会を行います。

 

第8回目期日

日時:9月29日(火)午前10時〜弁論準備
法廷:東京地裁13階民事36部 (最寄り駅:地下鉄霞ヶ関駅)
※終了後、場所を変えて報告集会を行います。

 

第7回目期日

日時:8月17日(月)午前11時30分〜 弁論準備

法廷:東京地裁13階民事36部 (最寄り駅:地下鉄霞ヶ関駅)
※終了後、場所を変えて報告集会を行います。

 

第6回目期日

日時:6月22日(月)午前11時〜 
法廷:東京地裁13階民事36部 (最寄り駅:地下鉄霞ヶ関駅)
※終了後、場所を変えて報告集会を行います。

 

第5回目期日

日時:6月1日(月)午前10時30分〜 
法廷:東京地裁631号法廷 (最寄り駅:地下鉄霞ヶ関駅)
※終了後、場所を変えて報告集会を行います。

  

ニコン 雇い止め撤回を/期間契約社員が提訴/働いてきた努力問う/東京地裁 しんぶん赤旗 2014年7月11日

 

 神奈川県のニコン相模原製作所で「減産」を理由に雇い止めされた期間契約社員の濱谷(はまや)和久さん(32)は10日、雇い止め撤回と未払い賃金、損害賠償金の支払いを求めて、東京地裁に提訴しました。

原告の濱谷さんは2008年2月から派遣労働者として、ニコン相模原製作所でレンズの研磨や洗浄作業に携わってきました。派遣期限を迎え、同社は2013年9月に直接雇用の契約社員に転換。ところが、契約を1回も更新することなく、今年3月末に「減産」を理由に「期間満了」として雇い止めされました。

 濱谷さんは首都圏青年ユニオンに加入し、団体交渉や社前宣伝をおこなってきましたが、解決がはかれないため提訴に踏み切ったものです。

 弁護団の佐々木亮弁護士は、労働契約期間満了時に契約が更新されると期待する「期待権」に該当すると指摘。「直接雇用はしたものの、おそらく派遣社員を減らしたいと戦略的に考えた行動であり、『派遣切り』と言ってもいい」とのべました。

 濱谷さんは「直接雇用で5年も働く人がいたので、自分も直接雇用になった時は長く働けると期待した。危険な溶剤を吸いながらがんばってきたのに、何のねぎらいもなく、尊厳が傷つけられた。これまで働いてきた努力をどう考えているのかを裁判で問い、職場復帰をかちとりたい」と決意をのべました。

 首都圏青年ユニオンの武田敦委員長は「団体交渉で所長から『よく働いてもらいました』との言葉も得ており、能力上、何の問題もなかったことは確かだ。労働者派遣法が改悪されれば、『派遣切り』撤回のたたかいもできなくなる。たたかって改悪にくさびを打ちたい」と訴えました。

 

損害賠償:派遣から契約社員…雇い止め 男性がニコン提訴 - 毎日新聞 2014年07月10日

派遣社員から有期雇用の契約社員となったあと一度も契約更新されず雇い止めとなり、長期雇用の期待権を侵害されたとして、ニコン(東京都千代田区、牛田一雄社長)の元契約社員の男性が10日、同社に雇い止めの取り消しと、雇い止め以降の賃金や損害賠償など計約481万円の支払いを求めて東京地裁に提訴した。

この男性は浜谷和久さん(32)。訴状や代理人によると、2008年2月にニコンの孫会社ニコンスタッフサービスから同社の相模原工場に研究開発の仕事で派遣され、3カ月ごとの更新を重ねて働き、13年9月にニコンの直接雇用に切り替わった。その際、更新は5年を上限とするとあったが減産を理由に今年3月末で雇い止めされた。

6年以上も同じ職務内容で連続して働き、雇用継続の期待権が発生するとして、雇い止めの取り消しを主張。浜谷さんは「長年、正社員と同じ仕事を社員以上にやってきた。一度も更新されないのは許せない」と話す。

ニコン広報部は「訴状が届いていないのでコメントは差し控えたい」と話している。【東海林智】

  
三菱ふそう派遣切り裁判
2011年7月28日に和解が成立しました。
これまでのご支援ありがとうございました。
 

三菱ふそう派遣切り裁判の和解成立にあたっての声明

2011年7月28日
首都圏青年ユニオン
PDF 版

 2011年7月28日、三菱ふそう派遣切り裁判の和解が成立した。和解条項上、和解内容について口外禁止とされているため、詳細を述べることは出来ないが、今回の和解は、原告2名が十分に納得できる水準のものである。首都圏青年ユニオンとしては勝利和解であると高く評価し、この和解の成立をもって、本争議は全面的に勝利解決したことをみなさんに報告する。

 この裁判は、2008年秋から全国で吹き荒れた「派遣切り」の嵐のなかで、その年の暮れに三菱ふそう川崎工場の派遣社員と期間社員の全員に対して解雇が通告されたことに端を発した。

 解雇通告された派遣社員のうちの2名、Sさん、Hさんの両君は、首都圏青年ユニオンに加入し、雇用継続について団体交渉を申し入れたが、三菱ふそうはこれを拒否して両名の派遣契約を解除し、派遣会社は両名を解雇した。首都圏青年ユニオンによる三菱ふそう本社への団交申し入れ行動は、多数のメディアによって報道され、当時の「派遣切り」に立ち向かう労働組合の存在を社会に知らしめることとなった。首都圏青年ユニオンの抗議行動もあり、三菱ふそうは契約期間途中で解雇された期間社員については期間満了までの雇用継続をおこなったが、派遣社員については、そのまま全員が解雇された。

 同時に、Sさん、Hさんの両君も他の派遣社員と同様に寮からの退去を求められたが、居住権を奪うことは許されないとの立場から、退寮要求を拒否し寮での居住を続けた。

 2009年年始には、多くの労働組合、反貧困運動の仲間たちとともに「年越し派遣村」を開催し、この裁判も、そうした社会運動とともに励まし合いたたかうことができた。

 こうしたなか、Sさん、Hさんの両君は、三菱ふそうに対して直接雇用を求める裁判を提訴した。関連派遣会社など4社も被告となったので、三菱ふそうとあわせて5社を被告とする裁判となった。

 裁判の中では、企業がいかに労働者派遣法を遵守していなかったかが明確になり、また、労働者派遣法を全て遵守して派遣労働させることがいかに困難であるか、日本の職場においてそもそも派遣労働を適正に実行できるのかの問題が浮き彫りになった。そして、違反に対して実効的な救済ができない、労働者派遣法の不備も改めて明らかになった。

 今回の裁判闘争は、非正規労働者の解雇争議であると同時に、全国の70ともいわれる派遣切り裁判の一つとして、労働者派遣法の抜本改正運動とともにたたかわれたことは非常に重要である。残念ながら、現在まで労働者派遣法の抜本改正には至っていないが、私たちは、改正に向けての運動の一翼を担うことができたと自負する。
 首都圏青年ユニオンは、今回の勝利和解を基礎に個々の派遣労働者の権利実現のために奮闘するとともに、労働者の権利を切り縮めている労働者派遣法の抜本改正をめざして引き続き全力でたたかう決意を表明するものである。 
  
2009/6/29
三菱ふそうトラック・バスに派遣されていた首都圏青年ユニオン組合員が直接雇用を求め、同社を提訴しました。
youtube提訴映像 「おかしいことには声上げよう!・三菱ふそう「派遣切り」で提訴」


 
『また職場戻りたい』 三菱ふそう提訴で会見 “派遣切り”労働者ら切々と (2009年6月30日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20090630/CK2009063002000074.html

 「何も持たないわれわれにツケをかぶせて、『しょうがないんだ』のひと言で済まされるのはつらい」。三菱ふそうトラック・バス(川崎市幸区鹿島田)の“派遣切り”に遭い、同社や派遣会社を相手取り東京地裁に提訴した元派遣社員のSさんさん(36)は、提訴後の会見で、仕事を突如失った苦しい胸の内を明かした。
 Sさんは昨年末の解雇に伴い、非正規労働者でつくる労働組合「首都圏青年ユニオン」に加盟。同組合とともに、三菱ふそうや派遣会社に解雇の撤回を求めてきたが、三菱ふそう側は「直接の雇用関係にはない」とし、交渉は進まなかったという。
 Sさんは会見で、「ふそうで再び働くにはこの方法しかなかった。すがりついてでも、あの職場に戻りたい」と、復職への希望を切々と語った。弁護団の笹山尚人弁護士(39)も「労働者が質の高い環境にあってこそ、高品質な製品が生まれるはずだ」と語り、三菱ふそう側に譲歩を求めた。
 Sさんはまた「(提訴をきっかけに)同じ立場の人に声を上げてほしい」と期待した。 (堀祐太郎)
 
解雇労働者:長期間同職場に派遣は違法…三菱ふそうを提訴
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090630k0000m040074000c.html

三菱ふそうトラック・バス(本社・川崎市)を解雇された元派遣労働者2人が29日、長期間同じ職場に派遣されたなどとして、正社員としての地位確認と330万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した。長期間同じ職場で働く派遣労働は「常用代替」と呼ばれ、労働者派遣法の趣旨に反するが、これを違法として提訴するのは極めて珍しい。

 訴えたのは、首都圏青年ユニオンの組合員で川崎市在住のSさん(36)と同、Hさん(39)。訴状などによると、Sさんは05年4月から川崎工場でブレーキペダルなどの取り付けの仕事を始め、08年12月に解雇されるまで同じ仕事をしていた。

 この間、派遣会社や請負会社などと契約を変えながら派遣労働者として働いた。Hさんは05年9月から同じ派遣会社で、2日〜半年の契約を繰り返し働いた。弁護団は「派遣労働が認められる『一時的・臨時的労働』ではなく、期間も派遣法の期間制限である3年を超えていた」と主張した。

 Sさんは「4年かけて覚えた技術を生かすには、どうしても職場に戻りたい。不況だからしょうがないでは済まない」と話した。【東海林智】

 ▽三菱ふそうトラック・バス広報部の話 訴状を見ておらず、コメントできない。
2009/6/2
自動車会社の社長さんに会いたいツアーを実施しました。
毎日新聞
派遣切り:「社長さんに会いたい」労組が責任問い訪問
 自動車製造関連で雇い止めや解雇で失職した派遣や期間労働者とその支援に取り組む6労組が2日、トヨタや日産、日野自動車など東京都内の自動車会社6社を訪ね、社長に要請行動した。社長が対応した会社はなかったが、昨秋以降の「派遣切り」の雇用責任を問いただした。

 要請は「自動車会社の社長さんに会いたいツアー」と銘打ち、全日建連帯日野自動車ユニオンや全日本金属情報機器労働組合(JMIU)、首都圏青年ユニオンと、失職した当事者ら約30人が参加。現場での生産が戻るとされる中、昨秋以降の安易な雇い止めを反省すべきだとして、失職し住居も失った当事者の声をトップに聞いてもらおうと企画した。

 日産への要請では、5年間派遣や期間従業員として働き3月末に雇い止めになった男性や、派遣で期間制限の3年を超え4年8カ月、事務で働き5月末で雇い止めになった女性が訴えた。首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「人をもののように扱い捨てるのか、社会は会社を見ている。人を大切にする会社なら誠意を持って話し合いに応じるべきだ」と主張。日産側は「話を聞くことしかできない」と述べた。【東海林智】

時事通信
「社長さんに会いたい」ツアー=元派遣社員ら、自動車メーカー巡る
 自動車メーカーを解雇された元期間工や派遣労働者と労働組合が2日、「社長さんに会いたいツアー」を行い、トヨタ自動車や日産自動車、三菱ふそうトラック・バスなど6社を回った。参加者は訴訟で解雇の無効や社員としての雇用を求めており、「誠実に対応して」と訴えた。
 各社は玄関先などで総務部社員らが対応。元従業員の「路頭に迷った人がいる」「社長さんと話したい」との訴えに対し、「コメントはできない」と繰り返した。
 ツアーを主催したのは首都圏青年ユニオン、全日本金属情報機器労組(JMIU)など3労組で、元非正規従業員ら32人が参加した。日産自動車で派遣の事務職として働いていた女性(28)は「冷たい対応だった。仲間だと思っていたのに向こうはそうでなかったと気付いて、ショックだった」と話した。(2009/06/02-19:46)
 
12月17日に首都圏青年ユニオンは大手自動車メーカー 三菱ふそうと派遣会社2社に対して、
派遣や期間工のクビを切るな!社員寮から追い出すな!という団体交渉の申し入れを行いました。
 
2009年2月26日

「派遣切り」された労働者を三菱ふそうの社員寮に居住を認めさせた件についての声明

本日、三菱ふそうトラック・バス株式会社(以下、三菱ふそうと表記)と首都圏青年ユニオンとの交渉の結果、三菱ふそうに派遣契約を打ち切られたために派遣会社から解雇された当労組組合員の三菱ふそうの社員寮の居住について、その継続を認めさせることに成功した。

この組合員が居住している中原寮(川崎市中原区)は、三菱ふそうが管理している50部屋ある社員寮である。中原寮には、三菱ふそう川崎工場内で働く派遣社員がこれまで居住してきた。しかしながら、昨年末からの「派遣切り」の横行によって、次々と派遣労働者は退去を余儀なくされ、現在(2009年2月26日現在)居住している労働者は当労組組合員1名を含む3名である。当労組組合員は、三菱ふそうが派遣会社に賃貸した部屋を派遣会社から賃貸している状態にある。

ところが、三菱ふそうは、派遣会社に対して賃貸契約を2月末日以降は延長しないという回答をおこなった。現実に、居住者がいて、その居住者は三菱ふそう川崎工場で働いていた派遣労働者である。この労働者の派遣契約の途中で契約解除をおこなった三菱ふそうが今度は仕事のみならず住居も奪おうとしたのである。このようなことを実際に居住している人間のことを考えもせずにおこなおうとすること自体、派遣労働者をモノ扱いしている証左である。

そこで、本日、首都圏青年ユニオンは、「寮から退去することはできない」「三菱ふそうは居住の権利を認めろ」と三菱ふそう本社前での宣伝行動をおこない、三菱ふそうとの合意を勝ち取った。

この合意は、派遣先企業の社員寮に派遣契約が打ち切られた以降の派遣労働者の居住権を認めさせたという点できわめて重要である。派遣先企業の多くは、派遣契約を打ち切ったことによる解雇については派遣会社が解雇したのであって派遣先企業は関知しないという形式的議論に終始してなんらの解決策を示さないことが多いわけであるが、今回の三菱ふそうと首都圏青年ユニオンとの合意は、こうした限界を突破したものである。つまり、派遣先企業が直接に雇用関係のない派遣労働者の解雇後の生活について、労働組合との合意にもとづき、派遣先企業が管理する社員寮への居住を認めたという画期的意味をもつと考える。

私たちは、今回の三菱ふそうとの合意を高く評価するとともに、「派遣切り」「期間工切り」にあった他の労働者にたいして三菱ふそうが寮の空き部屋に居住することを認めるようにさらに要求するものである。

派遣先企業の社員寮への居住を求めることは、不合理な要求ではない。いま、派遣切り・期間工切りされた労働者にたいしての住居を確保すべく、国や地方自治体が不十分ながらもさまざまな努力を開始している。ところが、みずからの企業利益を確保するためという身勝手な理由だけで、大量の解雇を続けている派遣先大企業は、その解雇された労働者の住居確保のために努力するどころか、寮からの追い出しを続けているわけである。これはあまりにも不合理であり、派遣先企業の管理する社員寮に空き部屋があるならば、ただちに解雇され住居を失った労働者に提供すべきである。それが最低限の実質的な雇用者としての責任であろう。

なお、三菱ふそうに派遣されていた当労組組合員2名は、三菱ふそう川崎工場内において同一業務で3年間以上勤務していたにもかかわらず三菱ふそうから直接雇用を申し入れられることもないままに派遣会社から解雇された。このことは不当であることはいうまでもない。三菱ふそうが労働者派遣法に違反しているということで是正をもとめて1月27日に神奈川労働局に申告をおこなっている。三菱ふそうに、この2名についての正社員での雇用をもとめてたたかっていく決意であることも強調しておきたい。

首都圏青年ユニオンは、全国で解雇され住居を失った労働者とともに、今後も派遣先企業の責任を追及しながら、安定した雇用とまともな住居を確保するためのたたかいを続ける決意である。

PDF版
 
2008年12月19日
三菱ふそうからの回答および首都圏青年ユニオンの声明

神奈川県川崎市幸区鹿島田890番地12
三菱ふそうトラック・バス株式会社
人事・総務本部 総務・労政部長 村上 方一


拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、12月17日付で弊社に対して要求のありました件につきまして調査致しました結果、弊社は「団体交渉申し入れ」記載の貴組合員とは雇用関係がない労働者派遣法に基づく派遣元と弊社の派遣契約でありますこと、及び貴組合員が入寮された施設は派遣元と弊社との賃貸借契約に基づいたものでありました。
したがって、貴組合員のご要求に応じることはいたしかねますので、何卒ご理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。

敬具

PDF版


首都圏青年ユニオンは12月20日、三菱ふそうトラック・バス株式会社に対する声明を以下の通り、発表しました。


2008年12月20日
首都圏青年ユニオン

2008年12月17日付で当ユニオンが三菱ふそうトラック・バス株式会社に対して団体交渉を求めました。本日、それにたいする三菱ふそうトラック・バス株式会社人事・総務本部総務・労政部長村上方一名の回答を受け取りました。
回答内容は別紙のとおりですが、この回答書は、当労組がもとめたことにたいして一切の回答を拒否したものであり、きわめて不当なものです。
私たちが団体交渉申し入れで求めた要求は、最小限のものです。
ひとつは、雇用の継続です。
もうひとつは、寮での生活の継続です。
今回の回答には、三菱ふそうの「派遣切り」によって雇用を失い、住居も失おうとしている派遣労働者の雇用と生活にたいしてなんらの配慮もありません。この12月末には、三菱ふそう川崎工場だけで500人もの請負、派遣の労働者が仕事を失うことになります。この事態にたいして企業もどう対応するのかが問われているときに、三菱ふそうの回答はあまりにも無責任であり、派遣労働者に冷たいものです。
そもそも、今回の大規模な「派遣切り」による失業は、言うまでもなく、派遣先企業である三菱ふそうが派遣契約を中途で大量に切ったことに端を発しています。今回の回答では、そうした事実を無視し、あたかも三菱ふそうが今回の事態になんらの当事者としての責任がないかのようです。

首都圏青年ユニオンは、あらためて以下のとおり、三菱ふそうに公開質問し、交渉に応ずるようもとめるものです。

1. 三菱ふそう川崎工場において、12月末で契約を打ち切られる期間工・派遣労働者約500名のうち、派遣契約途中での契約解除の人数を明らかにしてください。派遣契約満了まで契約を維持することができなかった理由についてあきらかにしてください。

2. 当労組組合員が居住している三菱ふそう中原寮には、2008年12月17日現在、22名の居住者がおり、28部屋の空き室があります。現在、この寮に居住する派遣労働者も12月から来年1月にかけて退去を指示されています。三菱ふそうが所有している社員寮には、大量の空き室が存在しているはずです。三菱ふそうが所有している寮の空き室をあきらかにしてください。いま、神奈川県や川崎市では、公営住宅を「派遣切り」された労働者に優先的に空き室をあっせんしています。三菱ふそうの寮の空き室についても、「派遣切り」された労働者の居住をすすめるようもとめます。

PDF版
 
2008年12月17日の宣伝の様子
ユニオンチューブ
 

申し入れ内容 
PDF版

1.三菱ふそう川崎工場において、12月末で派遣社員、期間従業員を契約途中にもかかわらず契約解除しているのは不当です。派遣契約の中途解除を撤回されるよう求めます。
 厚生労働省も、2008年12月10日に「労働者派遣契約の中途解除等への対応について」を発表し、派遣先に対して派遣契約の安易な中途解除をしないように指導を強めているところです。この雇用情勢の下で派遣契約の中途での契約解除をおこなうこと、期間従業員の契約途中での解雇をおこなうことは社会的にも容認できることではありません。
 なお、この点に関わって、貴社はマスメディアへの発表では、「契約期間中の解約はなく、新規契約や契約延長を見送る」との内容で発表しています。マスメディアへの発表にあるように、派遣契約の途中解除を撤回されるよう求めます。


2.三菱ふそうの従業員寮に居住する派遣従業員、期間従業員が契約解除を理由に寮からの退去を指示されていますが、この撤回を求めます。貴社工場で働いていた派遣従業員、期間従業員が次の適当な居宅に居住できるようになるまでの間の貴社従業員寮への居住を認めるよう求めます。また、貴社によって契約途中で一方的に契約解除されたという事情をかんがみて、寮での居住にかかわる費用全額を貴社にて負担されるよう求めます。
2008年12月9日付けの厚生労働省通達「非正規労働者、高年齢者、外国人労働者等に係る支援等について」でも、離職後も一定期間の入居について配慮を求めるとあるように、会社側の一方的都合での離職などを理由に従業員寮から退去させるということは、社会的に容認できるものではありません。



首都圏青年ユニオンが、三菱ふそうと派遣会社に団体交渉を申し入れ!
三菱ふそうは、派遣・期間工のクビを切るな!
寮から追い出すな!

PDF版



退職合意書・退職届にサインするのはやめましょう。


 三菱ふそう川崎工場では、12月末までに500名の派遣・期間工が切られると報道されています。派遣会社の多くは、「退職合意書」「退職届」などを書くように言ってきますが、これに記入してはいけません。これを書くと、じっさいには会社の一方的な契約解除が、自分からやめたということになってしまいます。三菱ふそうが派遣契約を切ったことが、そもそもの始まりです。三菱ふそうと派遣会社に、最初の契約どおりに仕事が続けられるように求めましょう。もし、できないというなら、契約の残った期間の賃金をきちんと支払うのが当然です。
 首都圏青年ユニオンに加入して、三菱ふそうと派遣会社と交渉していきましょう。


寮からも出る必要はありません。

 「退職したらすぐに寮を出てください」と言われていませんか?手持ちのお金もないままに寮を出てしまえば、アパートも借りることができずに、すぐに生活にいきづまってホームレスになるしかなくなります。次に住む場所のないときは、会社が何と言おうと、いま住んでいるところに住み続けましょう。会社側は住んでいる人を強制的に立ち退かせることはできません。法律どおりに立ち退かせるためには裁判をやるしかないからです。とにかく今は寮に住み続けましょう。首都圏青年ユニオンは、あなたの住み続ける権利をサポートします。


借金も整理できます。

 クレジットやサラ金などに借金がある方もいると思います。地下鉄の中にある「債務整理します」といった広告はインチキです。気をつけてください。ちゃんとした弁護士、司法書士に依頼すれば、どんな借金でも整理できます。首都圏青年ユニオンには顧問弁護団もあります。心配はいりません。


仕事も住む場所も確保しましょう!まずは相談を。 

 次の仕事も決まらないままに寮から出なければいけないとなれば、誰でも不安になります。でも、ひとりで悩むのではなく、なんでも相談してみてください。退職届を書く前に、寮を出る前に、ちょっと相談してみてください。

相談は、首都圏青年ユニオンへ!
03-5395-5359  union@seinen-u.org  http://www.seinen-u.org/
時事通信配信記事

契約社員男性「退寮無理」=三菱ふそうに解雇撤回申し入れ

「毎日不安でいっぱい」「退寮は金銭的に無理」−。三菱ふそうトラック・バスに派遣労働者として勤務した男性(35)が17日、契約途中での解雇は不当として、同社に解雇撤回を申し入れた。男性は厚生労働省で記者会見し、窮状を訴えた。
男性によると、同社川崎工場に約4年間勤務したが、11月18日、工場内で派遣会社の担当者から人員削減を理由に、今月25日付の解雇を通告された。わずか5分間で立ち話だった。
11月22日には、三菱ふそう側が所有する社員寮から今月29日までに退去するよう書かれた紙が寮のポストにあった。派遣会社との雇用契約書には、契約期間が今年4月1日からで、終了期間の区切りはなかったという。(2008/12/17-15:59)

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008121700666

ページの上部へ戻る