賃金・残業代未払いでの交渉

賃金未払い・残業代未払いでユニオンとの裁判中の会社です。


メンズカットリーダー裁判が勝利和解しました

声明
理容室メンズカットリーダー裁判が勝利和解
2018年2月5日

 

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首都圏青年ユニオン
首都圏青年ユニオン顧問弁護団

 

 首都圏青年ユニオンとその顧問弁護団が取り組んだ、理容室メンズカットリーダー(東京都稲城市)との間の理容師の未払い賃金請求事件が、本日東京地方裁判所立川支部において勝利和解で解決した。

  1. 事件概要

メンズカットリーダーで働く理容師は雇用契約書や給与明細書、タイムカードが存在せず、社会保険・雇用保険が未加入であった。給与からは寮費などに加えて積立金を強制的に天引きされており、手元に残るお金はごくわずかであった。給与は手渡し。賃金台帳や就業規則の策定など法律に基づく労務管理は一切されていなかった。またメンズカットリーダー経営者の山下氏は「東京の理容室で働ける」ことを謳い文句として、郷里である熊本や長崎の高校などに求人をかけていた。地方の高校に求人をかけることで社会常識や労働法の知識など不十分なままで働く場合が多く、搾取をしやすい対象に求人をかけていた。違法なメンズカットリーダーで働いていた男性理容師のSさんは退職時に未払いであった時間外割増賃金や深夜割増賃金の支払い、積立金の返還および社会保険・雇用保険の訴求加入を求めて、労働組合・首都圏青年ユニオンを通じて団体交渉を申し入れたところ、山下氏は「在職中に貸し付けていた貸付金182万円の返還を求める」という裁判を提起してきたため、2017年10月に反訴した。
Sさんは15年以上もの間メンズカットリーダーにいたが、毎朝8時半から深夜の23時半まで長時間働き、月に2回しか休みがなく、低賃金の上、積立金の違法な天引きのため給与の手取りはごく少額しかもらえなかった。高卒で地方から東京にやってきたSさんは時間とお金がない中、社会との接点をもつことができず、働き方のおかしさに気づくことができなかった。
まさに奴隷的拘束といえる働き方をしていたSさん。奪われた年月は取り戻せないが、せめて今後Sさんのような被害者が出ないように、また徒弟制的労務管理が残る理美容業界の改善のために、闘ってきた。

  1. 和解内容
  2. 山下氏は、Sさんに対し、被告を就業させるにおいて本件請求にかかる事項をはじめとする法規違反があったことを認め、今後、仮に雇用主となることがあれば、雇用主として守るべき諸法規を遵守するよう努力する。
  3. 山下氏は、Sさんに対し、本件和解金320万円の支払義務があることを認める。
  4. Sさんは、山下氏に対し、本件貸金債務として金152万円の支払い義務があることを認める。
  5. 山下氏及びSさんは、それぞれの自由な意思に基づき、ロのSさんの山下氏に対する債権とハの山下氏のSさんに対する債権とを対当額で相殺することを合意する。
  6. 山下氏は、前項の相殺合意に基づき、Sさんに対し、ニの相殺によって残るロの債権の残額168万円を支払う
  7. 山下氏及びSさんは、今後、互いに相手を誹謗中傷したり、営業活動を妨害したりしない。
  8. 山下氏は、Sさんに対するその余の本訴請求を放棄する。
  9. Sさんは、山下氏に対するその余の反訴請求を放棄する。
  10. 山下氏及びSさんは、山下氏とSさんとの間には、本和解条項に定めるもののほか、何らの債権債務のないことを相互に確認する。

 

  1. 本和解の意義

本和解は、次の意義がある。

  1. 理美容業界は徒弟的制度の慣行が著しく、この観点から様々な労働基準法違反が認められる「ブラック企業」がはびこりやすい。本件でも奴隷的拘束、長時間労働、低賃金、賃金からの搾取といった実情が認められた。和解では、まずこれらの違法行為の存在を認めさせ、実質的な謝罪条項を獲得した。
  2. 時間外労働の実態を裁判所が認め、残業代の発生を認めさせた。「保証金」についても、被告が認める部分にとどまったが、これを返還させた。
  3. 山下氏は、秘密保持にこだわったが、これを認めず、広く今回の成果を伝えることができるようにした。
  1. 首都圏青年ユニオンはこの勝利和解をより発展させるため、「理美容師ユニオン」を通じて理美容業界の労働環境改善にむけて活動を強化する。

理美容師ユニオンでは理美容業界で働く労働者の労働条件および労働環境の改善に取り組む。
理美容業界では離職率が非常に高い。1年目の離職率は約50パーセント、3年目の離職率は約70パーセントと他業種と比べても高く、本件のように、長時間労働が蔓延しており、営業後の練習・訓練なども含めると1日12時間労働など深夜にまで及ぶ労働が常態化している
また、労務管理が適切にされておらず、違法な状態で長時間労働を強いているケースが多い。有給休暇が支給されない、社会保険未加入などの労基法違反も多い。
理美容師ユニオンでは健康的で、安心して、将来のビジョンが描ける働き方を目指していく必要があると考え、理美容師の労働相談(03-5395-5359)を受け付けている。

 

裁判を闘ったSさんは証人尋問の最後に裁判官にむけて次のように発言している。「社会の常識を知らない子たちを言葉巧みにだますようにして、餌をちらつかせるように、マインドコントロールするかのように僕らを使うだけ使って、ましてや低賃金、長時間労働で働かせるブラック事業主が今後いなくなるように、僕らみたいな被害者が出ないように正当な裁判をお願いしたい。」と。
首都圏青年ユニオンならびに首都圏青年ユニオン顧問弁護団は、Sさんの告発および裁判の勝利和解と意義を大いに世の中全体が共有し、悪質な労務管理、そしてそれによる被害がなくなること、さらに、劣悪な労働条件・労働環境で働く理美容師たちがその抜本的改善のため、声を上げ、立ち上がることを願い、この声明を発するものである。

 
(株)LC社・K社長は労働者に未払賃金を支払い,謝罪せよ!−賃金未払を絶対許さない声明
2012年11月26日
首都圏青年ユニオン
「LC社事件」弁護団  
 本年11月14日,東京地方裁判所(今岡健裁判官)は,株式会社LC社(以下「会社」という。)が,首都圏青年ユニオンの組合員に対し,在職中に通勤手当を過大に受け取っていたとして過払い分と称する金員の返還を請求した事件について,会社の請求を全て棄却する判決を下した。組合員の全面勝利判決である。
 本件は,会社に対して未払賃金の支払いを求めた組合員に対する報復として提訴された事件である。すなわち,組合員が会社に対して未払賃金の支払いを求めるも無視され,やむなく少額訴訟を提起して2011年2月に判決が確定したにもかかわらず,会社が未払賃金を支払わなかったところ,会社が突如として在職中の通勤手当に過払い分が存在すると主張して,同年3月に労働者を「支配人」登記して訴訟代理人として取り扱い,団体交渉拒否の上,あろうことか同年8月,訴訟を提起したものである。
 判決は,会社が組合員の入社時から在職中はもちろん,組合員が退職後に未払賃金の訴訟を提起した時も含めて,組合員が申請した通勤経路及びその定期代を承認し,通勤手当を支給していた事実を認定した。そして,最安値経路での通勤手当を支給する社内規定がある,上限を超えて通勤手当の支給を受けるためには社長決裁を要する稟議書の作成が必要である等の会社の主張を排斥した。
 我々は,事実を正しく認定し,全く根拠がない会社の主張を排斥した本件判決を高く評価する。会社は控訴することなく本件判決を受け入れ,既に確定した判決に従って,一刻も早く組合員に対し未払賃金全額を支払い,謝罪するべきである。
 組合員は会社の確定判決無視のため,会社の役員であるK社長らに対し,未払賃金相当等の損害賠償請求を求める別件訴訟も提起せざるを得なかった。当該訴訟において,K社長は,自らの放漫経営を棚に上げ,40数名以上もの労働者に4000万円を超える未払賃金があった等として任務懈怠はなかったと主張している。しかし,賃金の未払いは犯罪であり(労働基準法120条1号,同法24条1項),本年10月12日,組合員は会社及びK社長を刑事告訴した。捜査も着々と進んでいる。
 我々は,使用者の基本的義務である賃金支払義務の不履行を絶対に許さず,企業及び経営者に対して徹底的に責任を追及する。首都圏青年ユニオンは,労働者の権利実現を求める全国の労働者の皆さんに労働組合に団結することを訴えるとともに,団結した労働者の皆さんとともに,労働者の権利実現のために奮闘する決意を改めて表明するものである。

以上
洋麺屋五右衛門などを経営する日本レストランシステム株式会社が、
約5200名のアルバイト・パートへの変形労働時間制の適用を
廃止決定したことに関する声明
2011年2月28日
首都圏青年ユニオン
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 2011年2月15日、日本レストランシステムは首都圏青年ユニオンの申し入れに対して、2011年5月16日より、日本レストランシステムで働くすべてのアルバイト・パート従業員約5200名への変形労働時間制の適用を廃止を決定したと回答した。この回答を、首都圏青年ユニオンは歓迎するものである。

 この回答は、2010年8月24日に東京高等裁判所での控訴審において、日本レストランシステム株式会社と洋麺屋五右衛門元従業員・須藤武史(首都圏青年ユニオン組合員)との間で成立した和解を受けて、2010年9月14日に首都圏青年ユニオンが日本レストランシステム株式会社に対して申し入れた書面に対する回答である。

 2008年3月26日から始まった日本レストランシステム株式会社との団体交渉において、首都圏青年ユニオンは、変形労働時間制の違法な運用実態について指摘し、その是正を求めてきた。また、アルバイト・パートなどに対して変形労働時間制を適用することをやめるように要求してきた。しかしながら、日本レストランシステム株式会社は、その指摘を無視して違法な運用を継続させた。そのため、首都圏青年ユニオンは、洋麺屋五右衛門元従業員・須藤武史(首都圏青年ユニオン組合員)を原告として裁判闘争に踏み切った。最終的に、東京高等裁判所での控訴審和解では、第一審判決において認定されたとおり、日本レストランシステムが全面的に変形労働時間制の運用の違法性、労働基準法違反の実態を認めたものであり、われわれは全面的な勝利をおさめた。

 日本レストランシステムとの全面的な勝利和解の成立後、われわれは「変形労働時間制」の問題を問うシンポジウムを開催するなど、本来、労働基準法の例外的な時間管理制度である変形労働時間制が無限定に広がっていることについて警鐘を鳴らしてきた。

 その後、首都圏青年ユニオンは、日本レストランシステム株式会社に対して、違法な運用をおこなってきた変形労働時間制の廃止を求める申し入れをおこなった。そして、今回、日本レストランシステム株式会社で働くアルバイト・パート5200名全員に対しての変形労働時間制の廃止が決定された。

 そもそも、変形労働時間制は、労働時間がシフトの変動などにより変動する、時給で働くアルバイト従業員などについての運用はなされるべきではない。このようなことが許されるならば、事実上、変形労働時間制を悪用して、時間外労働賃金の未払いを違法ではないものと偽装することが可能となってしまう。これは、低賃金で働くアルバイト・パート従業員に支払われるべき賃金を少なくすることになるだけではなく、長時間労働を助長することにもなりかねない。

厚生労働省の発表によると、2010年時点で変形労働時間制を採用している企業数割合は55.5%(前年54.2%)となっており、変形労働時間制の適用労働者数割合は49.8%(前年49.5%)にもなっている。ほんとうに変形労働時間制を導入する必要があるような事業種別なのかどうかも不明な企業・事業所が変形労働時間制を導入していることが予想される。実は、膨大な数の労働者が変形労働時間制の下で長時間労働を強いられ、違法な賃金未払いが発生している可能性がある。

そして、変形労働時間制の下で最大の被害を被っているのは、ワーキング・プアとも呼ばれる多くのパート労働者・アルバイト労働者である。ただでさえ、低賃金で働かされているパート労働者・アルバイト労働者が変形労働時間制を口実に時間外賃金を少なくしか払われないとするならば、それは貧困をさらに拡大するものであり断じて許されるべきものではない。

私たちは、変形労働時間制の違法な運用をおこなう企業に対して徹底して許さずにたたかうことを表明し、また、変形労働時間制をパート従業員・ アルバイト従業員に対して安易に適用する企業に対しても、その運用の廃止を求めるためにたたかうことを表明して活動をすすめてきた。今回の日本レストランシステムでのアルバイト・パートに対する変形労働時間制の廃止決定は、首都圏青年ユニオンの大きな成果である。すでに、首都圏青年ユニオンは2006年11月に、牛丼チェーン「すき家」を経営するゼンショーでもアルバイト・パート従業員約1万名に対して変形労働時間制の適用を廃止させるという成果を勝ち取っている。今回の日本レストランシステムにおけるアルバイト・パート従業員への変形労働時間制の廃止は変形労働時間制をめぐる賃金制度の是正の二つ目の大きな成果である。

私たちは、これからも企業のあらゆる違法行為を許さず徹底してたたかうことをあらためてここに表明する。特に、変形労働時間制を違法運用する企業、そしてアルバイト・パート従業員に安易に変形労働時間制を運用する企業に対しては、その廃止を求めてたたかうこともあらためて表明する。また、変形労働時間制については、事実上の不当な賃金不払いを大量に発生させている実態があり、加えて、長時間労働を促進するおそれもあることから、労働基準法の改正を求めてたたかうことをあわせて表明するものである。
 
毎日新聞 2011年2月28日 19時31分
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110301k0000m040041000c.html

洋麺屋五右衛門:「変形労働時間制」を廃止

 スパゲティ専門店の洋麺屋五右衛門などを全国展開する飲食大手「日本レストランシステム」(東京都渋谷区)が、一定期間の平均が法定労働時間(1日8時間、1週間40時間)にとどまっていれば繁閑に応じてその割り振りに偏りがあってもよいとする労働基準法に基づく「変形労働時間制」について、5月からアルバイトへの適用を廃止することを決めた。廃止を求めてきた元アルバイト男性(29)らが28日、明らかにした。
 同制度は、就業規則に明示した期間内での労働時間の変形を認めたもの。同社は就業規則に期間を明示していなかった上、時給制のアルバイトにも変形労働時間制を適用し、深夜や休日の割増賃金を支払っていなかった。男性が未払い分の支払いを求めて東京地裁に提訴して勝訴。東京高裁で和解が成立した。
 同社人事部は「裁判や組合との話し合いなどから総合的に判断し、廃止を決めた」として、全国400店舗で変形労働時間制を中止することを明らかにした。男性が所属する首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「違法な運用は横行しているのではないか。廃止は画期的で、法改正も求めていきたい」としている。【市川明代】
   
 シッスルドッグスクール事件 勝利和解についての声明
2010年9月21日
原告 
東京公務公共一般労働組合 青年一般支部
(首都圏青年ユニオン)
同 顧問弁護団
1. 2010年9月14日、東京地裁民事11部(白石哲裁判長)において、神奈川県鎌倉市にあるシッスルハウス株式会社(以下、「会社」という)が経営するシッスルドッグスクールに勤務して犬の訓練士を目指していた「原告」が、労働者であるという認定をし、裁判が和解した。本件は、会社が経営するシッスルドッグスクールにおいて、犬の訓練士の『研修生』の労働者性を問うた裁判である。

2. 原告は、2007年3月25日から会社が経営するシッスルドッグスクールにおいて、飼い主から預かった犬のしつけや訓練を施し、飼い主に犬のしつけや訓練方法を伝授する業務について、会社の取締役でシッスルドッグスクール校長ある松本 和幸氏と期間の定めのない労働契約を結び、見習い訓練士である研修生として業務に従事していた。原告の業務実態は、主として会社が経営するシッスルドッグスクール大船校から毎朝犬を世田谷校に移動させる運送業務や世田谷校を運営するスタッフとして、同校の業務全般に携わった。

3. 原告の労働実態について、松本氏から指示されて、スタッフの中で最も長い期間勤務しているAマネージャーから仕事のやり方を教わった。また仕事のやり方が分からないときは、Aマネージャーに電話をして指示を仰いだ。業務日報を毎日提出し、その報告を通じて、松本氏は業務の遂行状況、預かった犬の状況や来客の状況を把握していた。また仕事でミスをしたスタッフに対して、「実力が足りないから」という理由で減給を決めるなどをしていた。
原告の労働時間は、午前7時に出勤し、おおむね午後9時から午後10時くらいまで働いた。また、松本氏が大阪で開催される犬の訓練会に出場する際の運転手を務め午前4時まで拘束された。時には大船校の犬舎への泊まり勤務をし、そのまま日中勤務も継続して行っていた。ただし、休憩時間中にも会社施設内にとどまり、来客や電話等の対応をしており、労働時間から完全に離れた休憩とは言えないものであった。

4. 原告の賃金は、月額10万円から始まり、退職時には月額13万円となっていたが、時間単価では東京都の地域別最低賃金である時給719円(2007年3月25日から同年10月18日まで)、時給739円(2007年10月19日から2008年3月31日まで)を下回るものであった。また労働基準法に規定されている時間外割増賃金や深夜割増賃金は支給されていなかった。 
会社は裁判において、「犬の訓練士養成の世界においては、見習い訓練士は師匠のもとで労働に従事しているものではなく、訓練士としての技倆を身につけ、訓練を積むために研修に従事しているものに過ぎず、労務を提供して賃金を受けている労働者なのではない。会社が支給している金銭についても、労働の対価としての賃金ではなく、研修生活を可能にするための金銭的支援にほかならない。落語の師匠が内弟子に与えるお小遣いのように、労働の対価として支給しているものではない」としていた。

5. 会社は、本件和解に関し、犬の訓練士の研修生を労働者として扱わない姿勢を改め、原告をシッスルドッグスクールの業務に従事した労働者であることを認めた。また会社は犬の訓練士養成の世界ではこのような実態はあたかも常識であると裁判において繰り返し主張したが、そのような事柄をもってしても「労働者性」を否定する根拠にはならないことは、本件和解の内容をみても明白である。むしろ会社が業界の実態を述べれば述べるほど、業界の慣習が法律違反をしている裏付けにしかならない。
現在、他業種である美容師の業界などにおいても徒弟制度や研修生という名目で労働の対価を正当に支払わないケースや労働基準法や最低賃金法を守らないケースが増えている。我々は、本件の解決により、そのような社会的風潮を打破し、徒弟制度や研修生で苦しむ労働者の権利向上に奮闘する決意し、本声明を発表する。

以上
     
洋麺屋五右衛門(日本レストランシステム)が、変形労働時間制の運用において労働基準法違反の事実を認め、東京高等裁判所において勝利和解した件について。
2010年8月24日
首都圏青年ユニオン
同 顧問弁護団
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2010年8月24日、東京高等裁判所における控訴審において、当労組組合員と日本レストランシステムとの間で以下の要約内容で和解が成立した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

1 控訴人は被控訴人に対し、本件第一審判決が認定した労働基準法違反の事実を認め、原判決に従い未払残業代等の合計金14万4351円を本年4月15日に支払い、被控訴人はそれを受領した。

2 被控訴人は、その余の請求を放棄する。
3 控訴人は、本件控訴を取り下げ、被控訴人はこれに同意する。

4 控訴人は、被控訴人に対し、本件第一審判決が認定したとおり控訴人が採用していた変形労働時間制が違法であることを認め、それについて遺憾の意を表し、控訴人は、今後、変形労働時間制の運用等を行う場合は労働基準法を遵守して変形労働時間制が違法に運用されることがないように留意するとともに、同法が定める労働者の権利の実現に努めることを誓約する。

5 控訴人と被控訴人の間には、本和解条項に定めるほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する。

6 訴訟費用は、各自が負担する。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 本和解は、第1審判決において認定されたとおり、被控訴人須藤武史(首都圏青年ユニオン組合員)が日本レストランシステム株式会社の経営するスパゲティーチェーン「洋麺屋五右衛門」に勤務中の変形労働時間制の運用に労働基準法違反の事実があったこと等を理由に提訴した件について、控訴人日本レストランシステムが全面的に変形労働時間制の運用の違法性、労働基準法違反の実態を認めたものであり、首都圏青年ユニオンと首都圏青年ユニオン顧問弁護団は、全面的な勝利和解として評価するものである。

 変形労働時間制は、あくまでも労働基準法の労働時間規制の例外的制度であって、その運用は違法にならないよう慎重になされるべきである。にもかかわらず、日本レストランシステム株式会社は、変形労働時間制の違法な運用に固執し、首都圏青年ユニオンとの団体交渉の場においても「違法の認識がない」との回答を繰り返し、その後、渋谷労働基準監督署からの是正指導がなされた後も適法な処理を怠ったことは重大である。本和解において、日本レストランシステム株式会社が、その誤りを全面的に認めたことの意味は大きい。

 そもそも、変形労働時間制は、労働時間がシフトの変動などにより変動する、時給で働くアルバイト従業員などについての運用はなされるべきではない。このようなことが許されるならば、事実上、変形労働時間制を悪用して、時間外労働賃金の未払いを違法ではないものと偽装することが可能となってしまう。これは、低賃金で働くアルバイト・パート従業員に支払われるべき賃金を少なくすることになるだけではなく、長時間労働を助長することにもなりかねない。日本レストランシステム株式会社は、首都圏青年ユニオンが団体交渉開催時から要求してきたように、ただちに変形労働時間制の運用を廃止すべきである。

 また、本和解を通じて、われわれは変形労働時間制の運用について社会的に問題提起をしていくものである。
厚生労働省の発表によると、2009年における30人以上の事業所の49.5%は変形労働時間制を導入している。ほんとうに変形労働時間制を導入するような事業種別なのかどうかも不明な企業・事業所が変形労働時間制を導入していることが予想される。実は、膨大な数の労働者が変形労働時間制の下で長時間労働を強いられ、違法な賃金未払いが発生している可能性がある。

 そして、変形労働時間制の下で最大の被害を被っているのは、ワーキング・プアとも呼ばれる多くのパート労働者・アルバイト労働者である。ただでさえ、低賃金で働かされているパート労働者・アルバイト労働者が変形労働時間制を口実に残業代を少なくしか払われないとするならば、それは貧困をさらに拡大するものであり断じて許されるべきものではない。

 私たちは、変形労働時間制の違法な運用をおこなう企業に対して徹底して許さずにたたかうことをここに表明するとともに、変形労働時間制をパート従業員・アルバイト従業員に対して安易に適用する企業に対しても、その運用の廃止を求めるためにたたかうことをここに表明する。
  
不払い残業代:パスタ店とアルバイト男性が和解 東京高裁

毎日新聞 2010年8月24日 19時50分

 パスタ店「洋麺屋五右衛門」でアルバイトをしていた男性が、運営会社の日本レストランシステム(東京都渋谷区)に「変形労働時間制」を不正に適用されたとして、不払い残業代の支払いを求めた訴訟は24日、東京高裁(一宮なほみ裁判長)で和解が成立した。「制度の要件を順守していない」とした東京地裁判決に基づき、同社が約12万円を支払い済みであることを確認し、会社側が違法な運用だったと認めることなどが条件。
 変形労働時間制は、季節などによって忙しさに差がある場合などに適用できる。一定期間の週当たりの平均労働時間が法定労働時間以内であれば、特定の日や週は規制を超えても残業代を支払う必要がないが、事前に労働日・時間を明示する必要がある。【和田武士】
 
 
洋麺屋五右衛門 残業代等請求事件 東京地裁判決にあたって
2010年4月7日

原告 須藤武史
同弁護団
首都圏青年ユニオン
 
声明文 PDF

 1 本日、東京地裁民事第36部は、被告日本レストランシステム株式会社に対し未払残業代4万2995円および付加金3万7749円、未払時間給4万2736円、合計12万3480円及び遅延損害金の支払いを命じる判決を下した。

 2 本件訴訟においては、@被告が採用したと主張する変形労働時間制の適否、A15分未満の労働時間を切捨てる被告の運用の適否の2つが主要な争点として争われてきた。


 判決は、@の点につき、「被告が採用していた変形労働時間制は就業規則によれば1か月単位のそれであったのに、半月ごとのシフト表しか作成せず、変形期間全てにおける労働日及びその労働時間等を事前に定めず、変形期間における期間の起算日を就業規則等の定めによって明らかにしていなかったものであって、労基法に従った変形労働時間制の要件を遵守しておらず、かつ、それを履践していたことを認めるに足りる証拠もない」として、被告が採用したと主張する変形労働時間制は無効であると断罪した。

判決は、変形労働時間制を採用するためには、事前に労働時間を特定することが必要であるとして、変形労働時間の正しいあり方を示した。
飲食業界においては、本件と同様、当日の来客数や売上高に応じてアルバイト従業員をいわば「臨機応変に」休憩に出し売上高に応じて人件費を削減調整する取扱を行っている店舗も少なくない。変形労働時間制の採用において事前の労働時間の特定を要求する本判決の判断は、上記のような「融通無碍」な労働時間管理を行いつつ、さらに、変形労働時間制によって時間外労働割増賃金の支払義務をも免れることは許されないことを明らかにするものであり、本件判決の意義は極めて大きい。
  
また、判決は、Aの点についても、「被告は、シフト表と併せてタイムカードによっても原告の出退勤の管理を行っており」と認定して、タイムカード記載の労働時間の切捨てを認めず、被告に対し、15分未満の切り捨ててきた賃金を支払うように命じた。この判断は、労働時間の切捨てを違法としてきた従前の労働基準法の解釈及び裁判例の判断に即したものであり、正当である。
  
なお、判決は消滅時効を理由として平成19年4月分以前の原告の未払残業代及び未払時間給の請求を棄却したが、変形労働時間制及び15分未満の労働時間の切り捨てはいずれも違法であるのであるから、このような違法行為を行ってきた被告につき、時効を理由として免責するのは妥当ではない。

3 同時に判決は、「被告は、本件未払時間外手当の請求について十分な資料根拠に基づかずに変形労働時間制の主張を行ってその支払を拒絶してきている」ことを理由に3万7749円の付加金を支払うよう命じている。
  労基法の定める付加金制度は、労基法違反を行った使用者に対し、懲罰的に未払残業代等と同額までの金銭の支払を裁判所が命じる制度である。本件被告の労基法違反の悪質さに鑑み、裁判所が付加金の支払を命じたのは、極めて正当である。

4 本件訴訟において被告が明らかにしたところによれば、「洋麺屋五右衛門」のみな らず、「にんにくや五右衛門」、カフェ「モーツアルト」、「卵と私」等の多数の飲食店チェーンを経営する被告が雇用するアルバイト従業員等は全国で約6000名にも及ぶとのことである。
  今回、判決が被告に支払いを命じた金額は多額と評価できるものではないが、被告が雇用する約6000名のアルバイト従業員のそれぞれについて今回判決が命じたのと同様の未払賃金が存するはずである。被告が、上記のような変形労働時間制や15分未満の賃金の切捨て等の違法な運用によって、極めて多額の利益を得ていることが明らかになった。
  正社員と非正規社員の格差やワーキングプア等が社会問題となる現在、本件訴訟の意義は大きいものがある。
  なお、本件では、渋谷労働基準監督署が違法な変形労働時間制の運用を認めながら、労基法の原則に立ち返った指導を行わなかった。この点の問題も指摘しておく。

5 本件判決を受けて我々は、被告に対し次のことを求める。@本件判決を真摯に受け止め、控訴しないこと。A被告従業員に対し、過去2年分の未払残業代及び未払時間給を全額支払うこと。B被告経営の各店舗において変形労働時間制に関する運用を直ちにやめること。C労働関係法規を誠実に遵守すること。
我々は、今後も、非正規労働者全体の権利の実現のために邁進していく決意である。

原告 意見陳述書 PDF
        
    
残業代:変形労働時間制認めず、支払い命令…説明なく適用
毎日新聞
2010年4月7日
http://mainichi.jp/select/jiken/news/m20100408k0000m040049000c.html

 パスタ店「洋麺屋五右衛門」でアルバイトをしていた東京都在住の須藤武史さん(28)が、運営会社の日本レストランシステム(東京都渋谷区)に、「変形労働時間制」を悪用されたとして不払い残業代の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁(藤井聖悟裁判官)は7日、同社に残業代や付加金など計12万3480円の支払いを命じた。飲食店などを中心にアルバイトへの変形労働時間制が広がる中、安易な制度利用に警鐘を鳴らした形だ。【東海林智】

 変形労働時間制は、季節などによって忙しさに差がある場合などに適用できる。1カ月や1年など一定の期間について、週当たりの平均労働時間が法定労働時間以内(1日8時間、週40時間)であれば、特定の日や週が規制を超えた労働時間となっても、残業代を払わなくてよい。事前に労働日や労働時間を明示することが条件だ。
 須藤さんは事前に説明を受けないまま、06年3月〜08年2月に変形労働時間制を適用されたとして、未払いとされた残業約420時間の割増賃金(25%)など20万9451円の支払いを求めていた。
 判決は「変形労働時間制は、就業規則では1カ月単位でシフトを決めるはずが、半月ごとのシフトしか作成していない」として変形労働時間制にあたらないと認め、時効分を除く残業代などの支払いを命じた。
 須藤さんは「賃金をごまかさず、働きにきちんと報いてくれとの思いだった。認められてうれしい」と話す。須藤さんが加入する首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「アルバイトに変形労働時間制を適用し、残業代逃れをするようなやり方は許されない。安易な使い方に歯止めをかけたい」と話した。
 日本レストランシステムの広報担当は「判決を良く読んで今後の対応を検討したい」と話している。
 
洋麺屋五右衛門に残業代支払い命令 変形労働時間守らず
朝日新聞
2010年4月7日 
http://www.asahi.com/national/update/0407/TKY201004070326.html

 変形労働時間制を理由に残業代を支払わないのは不当だとして、外食チェーン「洋麺(めん)屋五右衛門」の元アルバイトの男性(28)が、店を運営する日本レストランシステム(本社・東京)に2006年3月〜08年2月の未払い残業代など計約21万円の支払いを求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であり、藤井聖悟裁判官は同社に約12万3千円の支払いを命じた。
 判決によると、同社は一定期間の労働時間が平均週40時間以内であれば、特定の日に8時間を超えて働かせることなどができる変形労働時間制をアルバイトに採用した。しかし、期間中のすべての労働日や労働時間を事前に決めないなど、労働基準法が定めた変形労働時間制の要件を守らず無効であると指摘。1日8時間を超える時間外労働については、割り増し残業代の支払いが必要だと判断した。
 原告代理人の笹山尚人弁護士は「同社が運営する飲食店には約6千人のアルバイトがいると言われ、同様の未払い賃金が存在しているはず」と指摘した。同社の人事担当者は「判決文を読んで控訴を含め今後の対応を考えたい」としている。
 
店側に残業代支払い命令 「変形労働時間」認めず
2010/04/07 19:43 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010040701000890.html

 パスタチェーン「洋☆屋五右衛門」のアルバイト店員だった東京都内の20代男性が、チェーンを展開する日本レストランシステム(東京)に未払い残業代など約20万円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は7日、約12万円の支払いを命じた。
 会社側は、業務の繁忙度に応じ、日によって勤務時間が変わる「変形労働時間制」を採用していることから残業代の未払いはないと主張したが、藤井聖悟裁判官は「就業規則などで制度の内容を明らかにしておらず、労働基準法上の要件を満たしていない」と判断。
 請求通り、会社には約20万円の支払い義務があると認定したほか「十分な根拠なく支払いを拒んだ」として、労基法に基づく支払い拒否の付加金も認容額に加えたが、時効で男性の請求権が一部失われたとした。
 判決によると、男性は2004年7月〜09年3月、東京・錦糸町の店舗で調理や接客を担当。1日3〜11時間働いたが、変形労働時間制を理由に一部の残業代などが支払われなかった。
(注)☆は麦の旧字の右に面
 
 「変形労働時間制」残業代未払いで無効判決
(2010年4月7日21時18分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100407-OYT1T01210.htm

 忙しさに応じて労働時間を調整する「変形労働時間制」を理由に残業代を支払わないのは不当だとして、スパゲティ店「洋麺屋五右衛門」の元アルバイトの男性(28)が同店を展開する「日本レストランシステム」(東京)を相手取り、未払い残業代など約20万円を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であり、藤井聖悟裁判官は、同社に時効分を除いた約12万円の支払いを命じた。
 判決によると、同社では1か月単位の変形労働時間制を導入し、1日8時間を超えて働いた場合でも残業代を払わなかったが、半月分の勤務表しか作っておらず、「労働基準法の要件を満たしていない」として、同社の変形労働時間制は無効とした。
 労働基準法では週40時間、1日8時間以内の労働時間を基本とするが、曜日や季節による繁閑が大きい場合には変形労働時間制の導入が認められ、一定期間内の平均が週40時間内であれば1日8時間を超えて働いても残業代を払う必要がない。ただ、極端な長時間労働を避けるため事前に労働時間を決めておく必要がある。
 男性の代理人の弁護士は「アルバイトにまで変形労働時間制を採り入れるのは、繁忙期の残業代の支払いを免れる目的以外には考えられない」と話している。
 同社人事部は「判決をよく検討して対応を決めたい」としている。
 
「変形時間」適用認めず=飲食店に残業代支払い命令−東京地裁
時事通信(2010/04/07-20:47)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010040700977

 勤務シフトが頻繁に変更されたのに、労働基準法が例外的に定めた「変形労働時間制」を適用するのは違法だとして、元飲食店アルバイトの男性(28)が店側に時間外手当などの支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は7日、適用を認めず、店を経営する日本レストランシステム(東京都渋谷区)に約12万円の支払いを命じた。
 変形労働時間制は、繁忙期が予想できる職場などで使われる制度。一定期間中の1日ごとの勤務時間を事前に決めておけば、一時的に法定労働時間を超えて働かせる日や週があっても、時間外手当を出さずに済む。
 訴えていたのは、2009年3月まで都内の飲食店「洋麺(めん)屋五右衛門」で勤務した男性。訴状などによると、半月単位のシフトが急に変更されたり、就業中に突然休憩に出されて勤務時間を削られたりしたという。
 
洋麺屋五右衛門に残業代支払い命令 東京地裁 バイトの働かせ方悪質
2010年4月8日(木) しんぶん赤旗
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-04-08/2010040801_02_1.html

 日本レストランシステム(東京都渋谷区)が全国で約190店を展開するパスタチェーン「洋麺(めん)屋五右衛門」のアルバイト店員が、「変形労働時間制」の不当な適用で支払われなかった残業代などを請求した訴訟の判決が7日、東京地裁でありました。藤井聖悟裁判長は、変形労働時間制を無効とし、未払い残業代、懲罰的損害金などあわせて12万3千円を支払うよう命じました。
 提訴していたのは、首都圏青年ユニオンに加入する男性(28)。2004年7月〜09年3月まで4年8カ月、五右衛門錦糸町テルミナ店を中心に、調理・接客業務に従事していました。
 変形労働時間制は、季節によって繁忙に差がある業種に対応し、就業規則の規定や書面による協定が必要です。
 判決は、変形労働時間制について定めた労働基準法を順守しておらず、「変形労働時間制の適用があることを前提とする被告の主張は採用できない」と認定。2年の賃金請求権の消滅時効にかかわらない07年5月以降の未払い残業代を支払うよう命じました。
 さらに、「十分な資料根拠に基づかずに変形労働時間制の主張を行ってその支払いを拒絶してきている」と悪質さを認め、労基法に基づく懲罰的損害金である付加金を3万7千円加えました。
 勝利判決報告集会で、男性は、「完全勝利できてうれしい。働いている人が報われる社会にしたい」と述べました。
 笹山尚人弁護士は、「アルバイトの人件費を抑えるため、時給をきちんと払わない企業が多いなか、違法な運用は許されないと判断した判決の意義は非常に大きい」と指摘しました。
     
日本レストランシステム(洋麺屋五衛門)を残業代未払いで提訴しました
毎日新聞のウェブサイト
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090625k0000m040100000c.html

変形労働時間制:不当に適用、未払い残業代求め提訴

全国で約170店を展開するチェーン系のパスタ店「洋麺屋五右衛門」の元アルバイトで東京都内在住の須藤武史さん(27)が24日、非正規労動者なのに「変形労働時間制」を不当に適用され残業代が未払いになったととして、同社を運営する日本レストランシステム(東京都渋谷区)を相手取り、約20万円の支払いを求めて東京地裁に提訴した。

変形労働時間制は、1週間当たりの平均労働時間が法定労働時間(1日8時間、週40時間)以内なら、一定の期間は規制を超え労働時間の配分を変えることを認める制度。

訴状によると須藤さんは06年3月〜08年2月、同制度を適用され、約420時間の残業代の割増賃金(25%)や、15分未満の労働に対する未払い賃金が生じた。08年、残業代の支払いなどを求めて渋谷労働基準監督署に是正を申告。同署などは会社に是正指導したが全額は支払われず、提訴した。


スポーツニッポンのウェブサイト
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20090624096.html

洋麺屋五右衛門の元従業員 残業代20万支払い求め提訴

パスタチェーン「洋麺屋五右衛門」の元アルバイト従業員須藤武史さん(27)が24日、チェーンを展開する日本レストランシステムに未払い残業代など約20万円の支払いを求め、東京地裁に提訴した。

訴状などによると、須藤さんは2004年7月〜09年3月、東京・錦糸町の店舗で調理や接客に従事。業務の繁忙度で日によって勤務時間が変わる「変形労働時間制」で1日3〜11時間働いたが、残業代は支払われなかったとしている。

須藤さんの代理人の弁護士らは「本来は季節や曜日によって繁閑の差がある不動産業などを想定して定められた働き方で、外食産業のアルバイトにまで導入されると、サービス残業が横行する」と話している。

同システムは「訴状を読んでから対応を考えたい」としている。
  
シッスルドッグスクールという犬の訓練所で働いていた訓練生の最低賃金違反等の裁判を行っています。

次回期日
7月17日(金)午前10時
東京地裁527号法廷


 犬のしつけや訓練をする「シッスルドッグスクール」という会社が神奈川県鎌倉市にあります。この会社で犬の訓練生をしていたユニオン組合員のHさんは賃金未払いによる裁判を起こしました。

 シッスルドッグスクール世田谷校に勤務していたHさんの賃金は月収13万円前後で、1日の労働時間は朝7時から21時の終礼まででした。時給に換算すると666円というという東京都の最低賃金を割っている「労働」に従事していました。

 しかし、会社側は労働委員会や労働基準監督署に対し、犬の訓練生は労働者ではないと言っています。

 犬のしつけや訓練を行う訓練生に対して、毎月お金を渡していたのは賃金ではなく小遣いであると会社は言っていますが、Hさんには源泉徴収票が発行されています。また指揮命令も十分にあったのに、会社はそれを認めてはいません。1日数十時間働いていたのに、「訓練生だから」の一言で労働者ではなくなり、労働者の権利が侵害されてしまっています。

 今後の裁判の進展によって、労働者か否かが大きく問われてきます。ぜひとも裁判への積極的な傍聴をお願いいたします。

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