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若い世代にたたかう手段をひきつぐために

「首都圏青年ユニオンを支える会」で若い世代の労働運動を支えませんか

 「私はただ普通に働きたかっただけです・・・自分で将来を一つ一つ積み上げ、築きたかっただけなのです」

 これは、ショップ99で、タダ働きの超長時間労働を強いられ心身の体調を崩した、青年ユニオン組合員・清水文美さんの言葉です。清水さんはボロボロの体になりながらも、ユニオンにたどり着き、労使交渉・裁判を闘いぬきました。そして、労災を認めさせ、未払い残業・慰謝料の支払いを勝ち取り、長い療養を経て、職場復帰を果たしています。

 こうした過酷な環境におかれた20代・30代の若者を中心に、誰でも一人でも入れる労働組合・首都圏青年ユニオンが結成されたのは、2000年12月のことでした。それは、雇用の不安定化が進む中、職場に組合がない、入れない労働者の受け皿をつくり、労働組合の力で、劣悪な労働条件を変えていくことを意図したものでした。

 企業別組合が多い日本の労働組合運動の中で、若者が主体となって労働問題の解決をめざす組合を立ち上げたことは、非常に画期的で、以来、19年間、解雇事件、未払い残業、有給不支給の労基法違反など、数々の労働問題を解決して、今に至っています。

 近年では、特に青年ユニオンの学生分会「学生ユニオン」の活動も活発になっています。いわゆる学生のブラックバイトが横行していますが、小田急電鉄でも人身事故時のトラブル対応による残業で学業に支障が出るなど、学生バイトの過重負担が生じています。しかし、ユニオンが会社と交渉を重ね、正社員の増員を勝ちとったことで、学生バイトの負担軽減に向けた動きが出てきました。また、男性社員が育休取得後に左遷された、アシックス・パタハラ事件裁判や、非正規に病休を取らせずに解雇したオートバックス・非正規差別解雇事件裁判など、時代を象徴する労働裁判にも、とりくんでいます。

 これら青年ユニオンの活躍は、メディアなどに取り上げられ、労働問題の社会問題化に大きな影響を与えています。

 その一方で、貧困と格差社会を生み出している最大の要因である雇用劣化に対して、私たちはまだ十分な対抗ができているとはいえません。冒頭に示した清水さんのような過酷労働が再生産されている現状があります。「ふつうの仕事」にふつうに就ける社会を実現していくために、ユニオンをもっともっと大きく、力強くしていく必要があります。ユニオンが強くなることで、ユニオンの組合員がまともな労働条件を獲得できるようになるのはもちろんのこと、ユニオン以外の舞台で闘っている若者を元気づけることにもつながっていくからです。

 青年ユニオンを大きくする上で、壁となっているのが財政収入の不足です。ユニオンは組合員のほとんどが不安定・低賃金の労働者であるため、十分な組合費収入の獲得が困難で、独自財源だけでは運営がままなりません。そうした青年ユニオンを財政的に支えるために活動しているのが「青年ユニオンを支える会」です。支える会は、研究者、弁護士、医者、学校関係者、労働運動や社会運動関係者、ジャーナリストなど、さまざまな階層の方が会員となり、会員からいただく年会費のほとんどをユニオンに提供し、その活動を支えています。運動を応援したい市民が、労働条件改善のために闘う若者の労働運動を財政的に支える−−−これも青年ユニオンをめぐる運動の画期的なところです。

 特に今、青年ユニオンが組織強化のために行いたいと考えているのは、専従職員の補強です。専従職員が増えれば、対応できる労働相談数や労使交渉、取材などが増え、活動の幅は大きく広がります。しかし、現在の青年ユニオンの独自財政、支える会の会員規模では、十分な数のスタッフを雇用することができないのです。

 そこで、今回、中堅・若手世代の研究者、大学教員、活動家の有志が集まり、青年ユニオンを支える会をさらに大きく広げる活動を開始し、より多くの人々に入会を呼びかけることにしました。

 困難を抱える労働者が、声を上げ、たたかう武器は、労働組合をおいてありません。青年ユニオンのような労働組合が成長し、全国津々浦々に広がることで、競争主義と自己責任、差別の社会ではなく、連帯と共同、平等の社会に変えていくことができるはずです。そのためにも、首都圏で行われているこの試みを対抗運動の一つのモデルとして、成功させる必要があります。若い世代のこの試みに、ぜひとも、皆様のお力をお貸しください。

2019年12月

​若手会員からの呼びかけ

〈呼びかけ世話人〉

上西充子(法政大学教授)

河合隆平(首都大学東京准教授)

児美川孝一郎(法政大学教授)

佐々木啓(茨城大学准教授)

佐々木亮(弁護士・旬報法律事務所)

笹山尚人(弁護士・東京法律事務所)

菅間正道(自由の森学園高校教頭)

杉田真衣(首都大学東京准教授)

鈴木宗徳(法政大学教授)

青龍美和子(弁護士東京法律事務所)

戸室健作(千葉商科大学講師)

中野晃一(上智大学教授)

藤原辰史(京都大学准教授)

本田由紀(東京大学教授)

南出吉祥(岐阜大学准教授)

蓑輪明子(名城大学准教授)

〈呼びかけ人〉

秋山道宏(沖縄国際大学准教授)、

池田考司(北海道教育大学札幌校講師)、

乾彰夫(首都大学東京名誉教授)、

植上一希(福岡大学准教授)、

大岡聡(日本大学教授)、

大串隆吉(東京都立大学名誉教授)、

太田政男(大東文化大学名誉教授)、

大西連(NPO法人自立支援センター・もやい理事長)

大橋幸泰(早稲田大学教授)

大平聡(宮城学院女子大学教授)

大屋定晴(北海学園大学教授)

岡崎裕司(佛教大学教授)

岡田健一郎(高知大学准教授)

岡田泰平(東京大学准教授)

小澤浩明(東洋大学教授)

小田原琳(東京外国語大学准教授)

小尾晴美(中央大学助教)

川口智也(弁護士・東京法律事務所)

川村雅則(北海学園大学教授)

木戸口正宏(北海道教育大学釧路校講師)

久保木匡介(長野大学教授)

神代健彦(京都教育大学准教授)

小池直人(名古屋大学准教授)

​伍賀一道(金沢大学名誉教授)

後藤眞生(元久留米高校)

後藤道夫(都留文科大学名誉教授)

佐藤克春(大月短期大学准教授)

澤佳成(東京農工大学講師)

柴田努(岐阜大学准教授)

杉浦由香里(滋賀県立大学准教授)

鈴木航(早稲田大学非常勤講師)

鈴木力(徳山大学講師)

須藤敏昭(大東文化大学名誉教授)

関耕平(島根大学准教授)

高橋若木(大正大学専任講師)

高柳新(全日本民医連元会長)

高山智樹(北九州市立大学准教授)

​竹内常一(国学院大学名誉教授)

田代美江子(埼玉大学教授)

田中智子(佛教大学准教授)

戸邉秀明(東京経済大学准教授)

冨田充保(相模女子大学教授)

中川勝之(弁護士・東京法律事務所)

中澤秀一(静岡県立大学短期大学部准教授)

永島昴(立命館大学准教授)

永田瞬(高崎経済大学准教授)

中西新太郎(関東学院大学教授)

中村清二(大東文化大学講師)

新井田智幸(東京経済大学専任講師)

西口想(ライター・労働団体職員)

西谷泰実(正智深谷高校)

二宮元(琉球大学准教授)

原未来(滋賀県立大学准教授)

平野健(中央大学教授)

藤岡貞彦(一橋大学名誉教授)

藤野裕子(東京女子大学准教授)

堀尾輝久(東京大学名誉教授)

本庄十喜(北海道教育大学准教授)

松田洋介(大東文化大学教授)

丸山啓史(京都教育大学准教授)

宮田惟史(駒沢大学准教授)

文貞實(東洋大学教授)

森武麿(一橋大学名誉教授)

森千香子(同志社大学教授)

森原康仁(専修大学准教授)

安岡健一(大阪大学准教授)

柳沢遊(慶應義塾大学名誉教授)

山縣宏寿(専修大学准教授)

山本公徳(岐阜大学准教授)

山田大輔(弁護士・第一法律事務所)

綿貫公平(全国進路指導研究会・大学非常勤講師)

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