top of page

正社員は通常給与8割の休業手当も派遣社員は「平均賃金の6割」、派遣差別は認めない

 家電製品を製造するA企業では、正社員には通常給与の8割の休業手当を支払っているものの、正社員とともに経理業務を行っている派遣社員には平均賃金の6割の休業手当しか支払われていません。明白な派遣差別です。首都圏青年ユニオンはこうした派遣差別の是正と適正な休業手当の支払いを求め、現在交渉を行っています。

◆派遣には「平均賃金の6割」も正社員には「通常給与の8割」

 A企業では新型コロナウイルス感染拡大を受け、職場での感染防止のため出勤自粛を3月末から行っています。多くの部署ではリモートワークのために会社のシステムを利用できるノートパソコンが支給され、リモートワークを行うことで出勤せずとも勤務が可能な態勢が整えられています。しかし派遣社員であり組合員のBさんが経理業務を行っている部署では、ノートパソコンの支給がされず同様の業務を行っている正社員含めてリモートワークができていません。

 これによって発生する休業について、会社は正社員については通常給与の8割を保障することとしていますが、派遣社員については派遣会社の判断にゆだねるとしており、Bさんが雇用契約を結ぶ派遣会社は「平均賃金の6割」の休業手当の支払いをするとしています。労働者派遣法では、派遣先で同種の業務をしている労働者と派遣労働者との間での均衡待遇を義務付けています。正社員には通常給与の8割の補償に対して派遣労働者には平均賃金の6割の補償しかしないというのは派遣差別であり、労働者派遣法違反です。派遣差別を即刻やめるようユニオンは求めています。

◆全額の給与補償を

 そもそも今回の休業は、①職場での感染防止という派遣先の判断による休業という意味で使用者の責めに帰すべき事由であるのみならず、②リモートワークの体制を整えなかったという点でも使用者の責めに帰すべき事由による休業です。民法536条2項では、使用者の責めに帰すべき事由での休業の場合には全額の給与補償を行う旨定められておりますので、本来であれば正社員含め全額の給与補償がされるべきです。

 ユニオンは派遣差別を是正し、また全額の給与補償を正社員含めて行うよう求めています。

◆「平均賃金6割」だと通常給与の半分以下?!

 労働基準法第26条では、最低基準として「平均賃金の6割」の休業手当の支払いが使用者に義務付けられていますが、この「平均賃金の6割」というのは「通常給与の6割」よりもはるかに低い水準です。

 というのもこの「平均賃金」は、「直近3か月の給与総額÷3か月の総暦日」で出されますが、この「3か月間の総暦日」には働いた日のみならず休日も含まれるのです。例えば5月分の平均賃金を出すとしましょう。2-4月は毎月20万円稼いでいるとすると、【平均賃金=60万円÷90日】で1日当たりの平均賃金は6667円です。労働基準法上の休業手当の最低ラインはこれのさらに6割なのです。これが5月に働くはずであった日に支払われますから、土日休みだとすれば、23日分支払われることになり、9万2004円となります。通常の月収である20万円とくらべてみてください。通常給与の46%分にしかなりません。

 これでは労働者の生活保障・給与補償の機能を果たし得ませんし、今回の事例で正社員に支給されるとされている「通常賃金の8割」と派遣社員に支払われる「平均賃金の6割」とが大きく異なる待遇であることも明白でしょう。ユニオンとしては、正社員と派遣社員双方に全額の給与補償を行うよう求めていきます。

 また同様の問題を抱える労働者の方は、ぜひ首都圏青年ユニオンにご相談ください。


【首都圏青年ユニオン労働相談情報】

日時:毎週火曜日・金曜日 17:00~21:00

電話番号:03-5395-5359


最新記事

すべて表示

TCL社パワハラ・休職期間満了雇用打切り事件の東京地裁判決を歓迎するとともにTCL社に対し控訴断念と速やかな謝罪及び全体解決を求める声明

TCL社パワハラ・休職期間満了雇用打切り事件の東京地裁判決を歓迎するとともにTCL社に対し控訴断念と速やかな謝罪及び全体解決を求める声明 2023年12月17日 東京公務公共一般労働組合青年一般支部(首都圏青年ユニオン) 同ユニオン顧問弁護団...

Comments


bottom of page